「欧州の人たちはなぜ長期の休みを取れるのか」に関して、今度は「会社」の中について。
理由の第一に、休暇時の業務の代行体制が明確に定められていることが挙げられます。
Aさんの休暇時にはその担当をBさんが、あるいは複数の社員に振り分けて代行。お互い休暇は長期に取るので、代行はやって当たり前という意識が根付いています。
第二にバカンスシーズンには業務量が増える会社の取り組みは基本的に行いません。販売活動の施策を打とうにもお客さまもお休み中でもあります。
第三にバカンス中は会社全体の業務をほぼストップさせる、たとえば製造であれば工場の操業を止める会社も少なくないこと。そうするとごく一部のメンテナンス要員を除いて全員が休みを取れます。
ただ、この欧州の長いバカンスの伝統も、経済のグローバル化の進展に伴い多少の転換期に差し掛かかっています。
7月、欧州の会社の人はマヨルカ島で日光浴をしても、中国やインドの取引先は営業中(*)。アメリカもバカンスは欧州より短い。仕事のメールはガンガン入ってきます。
とりわけマネージャー以上の層にとって、なかなか会社の仕事から完全に逃れることができなくなっています。
したがって、旅行先でもスマホで業務連絡を取り合って家族の顰蹙を買うという例もちらほら耳にします(夫婦ともマネージャークラスで、両方ともプールサイドで仕事の電話、なんて例ももう珍しくありません)。
長いバカンスという欧州の「美点」は今後どうなっていくのでしょうか。
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欧州チーム Y. T.